英国の気候変動対策
気候変動を巡る議論は、行動する必要があるかどうかという問題から、いつまでにどの程度対策をとる必要があり、経済にどのような影響が及ぶのかという問題に争点が移っています。英国は、国際レベル、欧州レベル、国内レベルのそれぞれにおいて気候変動の原因とされている温室効果ガスの削減目標を設定し、問題に取り組んでいます。
英国の取り組みの背景には、気候変動への対策を怠った場合、そのコストはとても受け入れられるものではないという認識があります。2006年10月に発表されたスターン・レビューは、気候変動が世界経済に甚大な損失をもたらす可能性があることを示し、年間、世界のGDPの5-20%が失われる可能性がある予測しました。たとえば海面が0.5m上昇した場合、東京、ニューヨークやロッテルダムといった湾岸都市の洪水被害は3兆ドル(約300兆円)にのぼると試算されています。
損失は経済的なものだけではありません。たとえばヒマラヤ山脈の永久凍土の融解は、下流のガンジス川、黄河、長江沿いに住む30億もの人々の暮らしに影響を与えます。さらに、気候変動のコストは、将来の損失だけではありません。私たちは既に、急激な気象の変化とその影響を感じています。たとえば、世界的な小麦価格の高騰の引き金となったオーストラリアの干ばつと小麦収穫の減少も、気候変動の影響と考えられています。 気候安全保障という言葉が示すように、気候変動はもはや、広く国家の安全保障にかかわる問題なのです。
一方で、スターン・レビューは、気候変動対策にかかる費用を年間GDPの1%と試算したうえで、断固たる姿勢で問題に立ち向かえば、最悪の事態を免れることはまだ可能だとして、迅速な対応を促しています。気候変動対策は、必ずしも経済的な負担を意味するものではなく、建築物の断熱効果やエネルギー効率の向上など、炭素排出を削減しながらコストを低減する施策も数多くあります。また、再生可能エネルギーの拡大は、エネルギー供給の多角化によってエネルギーセキュリティーを確保し、化石燃料にかかる費用を削減します。
早期に低炭素経済に移行した国や企業は、長期にわたって利益を得ることになると、英国は考えています。風力発電、炭素回収・貯蔵(CCS)、電気自動車など、低炭素経済に向けた商品やサービスの需要が今後さらに高まると予想されるからです。こうしたクリーン・テクノロジー産業は、2010年には7,000億ドル(約70兆円)までその世界市場規模が拡大すると予測され、これは、世界の航空宇宙産業と同規模です。こうした未来予測に基づいて、英国は国内の低炭素化にも力を注いでいます。
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英国の気候変動とエネルギー政策については、環境・エネルギー部までお問い合わせください。
英国は、気候変動対策に積極的に取り組んでいます